特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」@東京国立博物館 | この場でしか経験出来ない空間

2025年11月29日

録画しておいたNHKの日曜美術館を数日前に見て、遅ればせながらこの展覧会のことを知った。
11月30日までの会期ギリギリでなんとか観に行けて良かった。

奈良・興福寺の北円堂には2019年に行ったことがある。
南円堂と北円堂が同時に公開されるという、めったにないタイミングにあたり、とてもラッキーだった。↓

御朱印も南円堂と北円堂がしっかりと見開きになるようにいただいた。↓
北円堂で御朱印をいただくために2時間くらい並んだ記憶がある。

今回の展覧会は、鎌倉時代を代表する仏師・運慶の晩年の傑作である、北円堂の御本尊の国宝 弥勒如来坐像(みろくにょらいざぞう)と両脇に控える国宝 無著(むじゃく) ・世親菩薩立像(せしんぼさつりゅうぞう)に加えて、(現在は中金堂に安置されているが)かつては北円堂に安置されていた可能性の高い四天王立像を合わせた7軀の国宝仏を一堂に展示し、鎌倉復興当時の北円堂内陣の再現を試みる奇跡的な企画、とのことである。

そもそも弥勒如来坐像が興福寺の外に出るというのは約60年ぶりとのことで、今回は修理を完成したあとの特別な出来事であったことを理解した。

四隅に配置された四天王が、弥勒如来坐像と無著、世親の菩薩立像を守るような感じになっていて、それぞれをぐるっと回って見れるようになっており、7軀の国宝仏の配置の仕方がとても良かった。
また、北円堂を再現したような展示スペース内部の内装や雰囲気も素晴らしく、見事な「祈りの空間」であった。

今回は事前に有料音声ガイドをダウンロードして聞きながら会場に向かった。会場で借りる音声ガイドと違ってアプリで何度も聞けるので予習・復習も出来て便利だった。↓

会場内は当然のことながら写真撮影禁止だった。
以下の画像は、日曜美術館の公式サイト本展覧会の公式サイト東京国立博物館の公式サイト、上記の音声ガイドから拝借している。

弥勒如来坐像はこの角度からの表情が一番優しそうで好きだった。↓

私にとって、弥勒如来坐像より存在感があったのが、無著(兄)と世親(弟)の菩薩立像であった。↓
このお二人は実在したインドの学僧で当時のガンダーラ国(現在の北インド)で活躍された方々なのだそうだ。

ChatGPTとGeminiに助けてもらったところ、お二人のインド名とそれぞれを中国で漢字に音写・意訳した内容というのは以下のようだ。
・無著 (アサンガ・Asanga): 執着を離れた(無著)という意味です。
・世親 (ヴァスバンドゥ・Vasubandhu): 世界(世)の親族/友人(親)という意味合いです。

無著菩薩像は運慶の六男(一番下)の運助、世親菩薩像は、五男の運賀が製作したそうだが、一番若い二人を運慶自身が手助けしながら作ったので、このような素晴らしい作品になったのではないか、と音声ガイドの中で解説されていた。

無著菩薩立像に関しては、正面に立って、無著の眼に見据えられると、すべて見透かされてしまっているようで、身動き出来なくなってしまうような威厳があった。↓

正面からだと厳しい雰囲気だが、横顔になると優しさが滲み出ているように感じた。↓

Screenshot

世親像の方が寛容な感じがする。↓
お名前の通りの雰囲気とも言える。

玉眼の効果もあってか、眼が少し潤んでいるようにも見える。↓

この展覧会で良かったのは、像をぐるっと360度すべての方向から観ることが出来たことだ。
角度によって表情が変わって見える。

じっと見ていたくなったのは、この「弥勒像と無著・世親像の背面3ショット」だ。
特に無著・世親像は、背中にも眼がついているような雰囲気を感じた。

特に弥勒像のお背中は普通では拝見できないとても貴重な機会であった。というのも北円堂の「弥勒像の背後には光背(こうはい)があるので、普段はここまで背面をご覧いただくことができない」のだそうだ。

四天王立像もカッコよかった。↓
左から広目天、増長天、持国天、多聞天。

持国天↓

増長天↓

多聞天↓

今回の公式写真を撮影された佐々木香輔氏が日曜美術館の中で語っていたが、仏像はどの角度から写真を撮るかが非常に難しいが、多聞天については、見上げているこの目線を撮るのが一番と思い、台に登って上からカメラを向け、この目線を撮影することにしたのだそうだ。
確かに迫力がありとてもカッコいい。

最後は、四天王の中で私が一番好きなポーズを取っていた広目天↓

写真だけではなかなかあの会場の空間の雰囲気が感じきれないので、以下の動画も載せておく。
もう会期も終わってしまうのでいつまで見れるのか分からないが。↓

わずか7軀の仏像のみの展示であったにも関わらず、とても強いインパクトを受けた素晴らしい企画の特別展であった。

外に出たらすっかり暗くなっていたが、照明の効果で綺麗な写真になった。

元気に美しいものを拝めて感謝である。

おわり

追記:興福寺・北円堂の歴史について
世界遺産・興福寺は、710年の平城遷都の際、現在の地に誕生、境内の北西に位置する北円堂は、創建者である藤原不比等ふじわらのふひとの追善のために721年に建立されるも、1049年の火災、1180年の平氏による南都焼き討ちで二度にわたって焼失。復興には長い年月が費やされ、1210年頃に堂が完成、造像は氏長者近衛家実このえいえざねの命により運慶一門が手がけ、1212年頃には北円堂諸仏が再興された。

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