松方コレクション|国立西洋美術館②~美しき愚かものたちのタブロー|原田マハ

ジヴェルニーのモネの水連の庭

2023年9月12日

前回、以下のようなことを書いた。
・上野の国立西洋美術館が出来たのは、戦前に松方幸次郎がヨーロッパで買い集めた松方コレクションを収めるためだった。
・それを2019年に開催された松方コレクションに行って初めて知った。
・そして、そのことを思い出しながら、今ある本を読んでいる。

戦闘機でなく絵画(タブロー)を。
戦争ではなく、平和を。

原田マハの美しき愚かものたちのタブロー

そのある本とは、原田マハさんの「美しき愚かものたちのタブロー」。

文庫本の帯にあるこの言葉が響く。
特に、いまだにロシアによるウクライナ侵略が継続している現在においては。
小説の中でこの言葉が出てくる場面もとても感動した。

私は遅ればせながら、今ごろになってこの小説を読んだわけだが、本のあとがきに「この本を読んだ人がたくさん松方コレクション展に訪れた」というくだりがあり、「松方コレクション展の前に、この小説がすでに存在していたんだ」、ということを知った。

もっと知りたくなって調べたら、この小説が発刊されたのは、松方コレクション展の会期(2019年6月から9月)の直前、2019年5月だったことが分かった。

「直前なんだ、一体どういう経緯だったんだろう?」とさらに調べてみると、原田マハさんの公式サイトでマハさんが以下のように語っているのを発見した。

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私のなかの大きな意義を達成するため、どうしても5月中に刊行したかった。 

—最新刊『美しき愚かものたちのタブロー』は、「松方コレクション」という国立西洋美術館の設立に繋がる一大コレクションを題材に選ばれていますが、なにかきっかけがあったのでしょうか? 

 三年ほど前に『たゆたえども沈まず』の取材で国立西洋美術館の馬渕明子館長にアドバイスをいただく機会があり、そこで2019年に国立西洋美術館が設立60周年を迎えるため、「松方コレクション」の全容を解明する大規模な調査をしていることを伺いました。以前から松方コレクションのことを知ってはいましたが、詳しく調べたことはなかったんです。なぜこの素晴らしい美術館がいまここにあるのか、自分なりに掘り下げてみたかった。設立60周年に合わせて「松方コレクション」を巡る小説を上梓することで、私から国立西洋美術館への餞(はなむけ)の一冊にしたい気持ちがありました。+++++++++++++++++++++++

詳しくはこちらをご参照。

マハの展示室 | 原田マハ 公式サイト
マハの展示室|小説家・原田マハの公式サイト

私が最初に読んだ原田マハさんの小説は「楽園のカンヴァス」だった。
たった一枚の絵を軸にこんなに壮大な話を描けるんだ、と感動した。
また、間違いなくあの小説のおかげで絵画に対する興味も増した。

今回この作品を読んで、原田マハさんってやっぱりすごいな、アートの力ってすごいな、と改めて感じた。

おわり

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